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カタリ鴉（集英社）／青野聰

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商品説明

1986年2月10日第1刷発行。

ウーワッハッハ、喰った喰った、人間の肉を喰った。見るがよい、苔やら芝やらシロツメグサが生えた、おれの偉大で高貴、長きにおいても硬さにおいても群を抜いた、このたくましい嘴。おれはこれで人間のはらわたを喰った、眼玉を喰った、脳味噌を喰った。
（飛来した鴉の前口上より）

知能が高いとされ、ときに狡猾で残酷、あるいは孤高な神秘性さえ感じさせる存在である鳥である、鴉（カラス）。
その鴉のメタファーから導かれるように、その嘴は饒舌に動き、いきなり読者をギョッとさせるような前口上で始まる物語の内容は、徹頭徹尾、鴉の肉体と精神を通して語られていきます。
その嘴からほとばしる言葉は、現代の人間が歩む＂ぼくらの時代＂を描き、すべてが人間にとって難解かつ不可解、一読して嘘に満ちた妄想の産物のような印象を与えます。
しかしそれは、鴉の嘴を用いて嘘を語り尽くすことで、人間の小説の可能性を極限まで追究する、突き抜けたところでの真実を表現する文学的挑戦なのだと思います。
そんな著者の企てに、読者は圧倒されながらページを捲り続けることになるでしょう。
ちょうど鴉に、はらわたも眼玉も脳味噌も喰い尽くされるように。

青野聰は、1943年7月27日生まれ、東京都出身の小説家です。
1966年に早稲田大学第一文学部中退後、ヨーロッパや北アフリカ諸国を放浪した後に、1971年『早稲田文学』誌上で作家デビュー、『母と子の契約』が1979年の第80回芥川龍之介賞の候補となり、『愚者の夜』で同年7月発表の第81回芥川賞を受賞しました。

経年による変色が少しだけあります。
それ以外は美品です。

約2ヶ月前

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商品情報

カテゴリ	エンタメ/ホビー › 本 › 文学/小説
サイズ	なし
商品の状態	目立った傷や汚れなし
配送料の負担	送料込
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