スモール・フェイセス／イッツ・オール・オア・ナッシング

1993年の作品。
スモール・フェイセスは、スティーヴ・マリオット（ボーカル＆ギター）、ロニー・レーン（ベース）、ケニー・ジョーンズ（ドラムス）、ジミー・ウィンストン（オルガン。その後、イアン・マクレガンに交代）により、1965年に結成され、ロンドンのイースト・エンドを代表するバンドとして知られるようになりました。
ちなみにバンド名の由来は、スティーヴをはじめとして、メンバーの身長が低かったことと、イースト・エンドの＂顔役＂としてのプライドを込めたことにあります。
彼らの音楽志向といえば、やはりソウルやR&Bの影響を強く受けたモッズ・サウンド、さらに時代的な背景もあり、サイケデリック・ブルース的な受け止められ方もされていました。
彼らの初期のステージは、ジェームス・ブラウンやスモーキー・ロビンソンやベン・E・キングなどのカバーを演奏していましたが、そのうちオリジナル曲も加え、そこでスティーヴの迫力あるボーカルが注目され、彼らはデッカ・レコードと契約します。
イアン加入後の初のシングル『Sha-La-La-La-Lee』（エルヴィス・プレスリーの多くのヒット曲を手がけたモルト・シューマンの作品）が全英チャート3位となる大ヒットを記録した彼らは、遂に『All or Nothing』を前述チャート1位に送り込み、名実共に英国のトップ・バンドになりました。
特にイアンの貢献は大きく、今作でも彼のオルガンをフィーチャーしたインストルメンタル・ナンバーもあり、それに比例するように、メンバー全員の名前がクレジットされた共作曲も増えています。
今作は、フェイセスのいわゆるモッズ・バンド的な側面が前面に出ており、それほど知られていない曲も含めて、彼らの黒人音楽への憧れと敬意がストレートに出ていると思います。

ドイツ輸入盤のため、英文のライナーノーツが記載されているのみで、日本語関係の資料はありません。
美品です。