『 キャパの十字架 』沢木耕太郎

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ブランド: 文藝春秋

ここに一枚の写真がある。そんな静かな書き出しに誘われてこの写真を目にした時には、この構図、この画角、太陽の位置、山の稜線、銃の角度、兵士の影に、ここまで深い意味が含まれているとは想像できなかった。ましてや一人の男の生きた軌跡が、陰影まで刻みこまれているとは「崩れ落ちる兵士」 それは写真機というものが発明されて以来、最も有名になった写真の一枚である。中でも、写真が報道の主要な手段となって発達したフォト・ジャーナリズムの分野においては、これ以上繰り返し印刷された写真はないとも言われてきた。 スペイン戦争時に共和国軍兵士が敵である反乱軍の銃弾に当たって倒れるところを撮ったとされるこの写真は、雄弁であった。やがて崩壊するスペイン共和国の運命を予告するものとなり、実際に崩壊してからは、そのために戦った兵士たちの栄光と悲惨を象徴する写真となって世界中に広く流布されることになるのだ。だが、この写真を撮ったとされるロバート・キャパは、「崩れ落ちる兵士」について、どこまでも寡黙であった。キャパ自身の手でキャプションをつけなかっただけではなく、この写真についてオフィシャルにはほとんど何も語っていないのだ。それゆえに「崩れ落ちる兵士」は、本来の文脈を離れて別の意味を付与されるようになってしまった作品とも言える。この写真に関しては、いくつもの謎が残されていた。だが、この写真の持つ衝撃力によって、その謎が謎として真正面から取り上げられることもなかった。その結果、キャパの「崩れ落ちる兵士」の写真は以下のように定義されることとなったのである。 【1936年9月5日前後、セロ・ムリアーノで、共和国軍兵士フェデリコ・ボレルが反乱軍の銃弾を受けて倒れるところを撮った写真である。】戦場カメラマン、ロバート・キャパが1936年、スペイン戦争の際に撮影した「崩れ落ちる兵士」。銃撃を受けて倒れるところを捉えたとされるこの写真はしかし、そのあまりにも見事な迫真性が故に、長く真贋論争が闘われてきた。学生時代より半自伝『ちょっとピンぼけ』を愛読し、キャパにシンパシーを抱き続ける著者は、その真実を求めてスペイン南部の〈現場〉を特定し、さらに粘り強い取材を繰り返す。その結果、導き出された驚くべき結論とは。長らく封印されていた「真実」がついに明らかになる。#ゲルダ・タロー 396頁 文藝春秋社

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カテゴリ エンタメ/ホビー

人文/社会
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