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定価４８０円
真田騒動―恩田木工 (新潮文庫) 1984/9/27
池波正太郎 (著)

「我々には霞を食べて生きておれ、殿様は贅沢三昧に日を送るのが真田家の家風だと、
いつから、そうなったのでございますか」
信州松代藩立て直しの特命を受け、家老の孤独な闘いが始まった。
表題作『真田騒動』、直木賞受賞作『錯乱』他、「真田もの」珠玉の五篇。

信州松代藩――五代目・真田信安のもと、政治の実権を握り放縦な生活に走った原八郎五郎を倒し、窮乏の極にある藩の財政改革に尽力した恩田木工を描く表題作。関ケ原の戦い以来、父昌幸、弟幸村と敵対する宿命を担った真田信幸の生き方を探る『信濃大名記』。
ほかに直木賞受賞作『錯乱』など、大河小説『真田太平記』の先駆を成し、著者の小説世界の本質を示す“真田もの"5編を収録。

【目次】
信濃大名記
碁盤の首
錯乱
真田騒動
この父その子
解説:佐藤隆介

【直木賞受賞「錯乱」(本書収録)冒頭より】
堀平五郎手製の将棋の駒は、風変りなものである。
材も桜だし、形も大ぶりで重味厚味も相当なものだ。
「諸事円満な平五郎なのに、あのようなひねくれたものを拵えるというのが、どうもわからぬ。一組差し上げるといわれ、もろうではきたが……どうも、差しにくくてなあ」などと噂もされる。
「武骨な手でする細工ゆえ、どうしても、あのようなものに出来上ってしまうので」
と、平五郎は苦笑していた。
元和八年(一六二二年)に、藩祖の真田信幸が、この松代へ転封して来てから、領内では、とみに囲碁将棋がさかんになった。(昭和35年上期・第43回)

池波正太郎(1923-1990)
東京・浅草生れ。下谷・西町小学校を卒業後、茅場町の株式仲買店に勤める。戦後、東京都の職員となり、下谷区役所等に勤務。長谷川伸の門下に入り、新国劇の脚本・演出を担当。1960(昭和35)年、「錯乱」で直木賞受賞。「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の3大シリーズをはじめとする膨大な作品群が絶大な人気を博しているなか、急性白血病で永眠。
出版社 ‏ : ‎ 新潮社; 改版
発売日 ‏ : ‎ 1984/9/27
文庫 ‏ : ‎ 432ページ

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